「技術者」というと、どんな人を想像するでしょう?「もの作り」をしていたり修理をしてくれたりする人という感じでしょうか。理系出身で、スーツではなく作業着を着ていて、機械とかパソコンとかをいじっている人という感じでしょうか。自らの手で技術を実践し、デスクワークはあまりやらないというイメージではないでしょうか。

私は約24年間特許事務所で働きましたが、特許事務所にも「技術者」がいます。私も特許事務所でずっと技術者でした。特許事務所の技術者も、名前の通り「技術」を取り扱いますし、理系の人が多いです。でも、特許事務所の技術者は、デスクワークを行うのがメインです。特許技術者は、「明細書」という発明を記載した技術文書(特許を記載した法律文書でもあります)等の作成を補助します。外国特許技術者の場合は、明細書等の外国語(主に英語)の翻訳文を用意したりします。

従って、特許技術者にとって、技術を理解する能力と、それを文書に表す能力は非常に重要です。自ら発明をするほどの能力は要りませんが、特許を取得する上での発明の技術的な本質を発明者から引き出す能力は必要だと思います。(でも実際には、趣味で自動車をいじるのが好きな人、パソコンをいじるのが好きな人など、喜々として技術を実践している人は多いと思います。)

特許事務所においては、「技術」に対する職務として「事務」があります。(事務所によっては他にもあると思います。)事務の方たちの職務の範囲は大変幅広いのですが、技術的な文書以外の文書を調えて発送したり、受信物を仕分けたり、期限を管理したり、請求を出したりしてくれます。

特許事務所では、このように「技術」と「事務」に分けるのが一般的ではないかと思いますが、「技術」の代わりに「実体」と呼んでいる事務所もあると聞いたことがあります。(その場合、「事務」は「方式」?)「実体」の人のことを「実体さん」と呼ぶとも聞きました。私はこの呼び方、ちょっと気に入っています。私も一度は「実体さん」と呼ばれてみたかった。特許関係者は「実体」、「方式」でピンと来ると思いますが、ここでは説明が長くなるのでやめておきます。