外国特許技術者が生成AI Claudeを使い始めた話

特許事務所のサポート業務を行う当社では、日々大量の技術文書と格闘しています。

外国特許出願の中間処理、拒絶理由通知の分析、英文明細書のチェック…これらの業務を効率化するため、AI活用を模索していました。そんな中で出会ったのが、大規模言語モデル(LLM)をベースとした生成AIアシスタント Claudeでした。

今回は、プログラミング初心者未満の私が、どのようにしてClaudeを業務に取り入れ、さらに便利な拡張機能まで使えるようになったかをお話しします。

🎯特許文書処理の課題からスタート

私たちの業界は、技術そのものを扱う業界です。クライアントの最先端技術を理解し、それを正確に文書化する必要があります。そして、この技術を扱う業界において、AI利用は遅かれ早かれ一般化することは明白でした

「今のうちに学習も兼ねて使いこなしておきたい」

これが、私がAI活用に本格的に取り組み始めた最大の理由です。競争が激しくなる前に、ツールを使いこなし、業務フローに組み込んでおくことが重要だと考えました。

しかし、それ以上に重要だと考えたのは、AIができることと人間しかできないことを実際に体験して理解することでした。

特許業務において、どこまでがAIに任せられ、どこからが人間の専門性が必要なのか。今後この業界で人間に求められるスキルは何なのか。これらを見極めたいという思いが、私を突き動かしました。

🤖Claude との出会い

生成AIを検討する中で、さまざまなサービスを比較検討しました。ChatGPT、Gemini、そしてClaude…。

最終的にClaudeを選んだ理由は2つありました:

  • ユーザーデータの扱いに対する信頼性
    特許文書は機密性が高く、データの取り扱いには細心の注意が必要です。Anthropic社のプライバシーポリシーとデータ取り扱い方針は、私たちの要求水準を満たしていました。
  • 生成する文書の自然さ
    クライアントへの報告書や外国代理人への指示書を作成する際、Claudeが生成する文章は自然で読みやすく、専門的な内容でも適切な表現を選んでくれました。

🔧Claudeをさらに便利にする拡張機能との出会い

ClaudeにはProject Knowledgeという便利な機能があり、プロジェクトごとに関連文書を管理できます。しかし、日々の業務では次のようなニーズがありました:

  • ローカルに保存した大量の過去案件の文書を直接参照したい
  • Web上の最新の特許公報や技術情報を効率的に取り込みたい
  • WordやPDFなど、さまざまな形式の文書を統一的に扱いたい

そんな時、ネット検索でAnthropic社がオープンソースとして公開している拡張機能(MCP:Model Context Protocol)の存在を知りました。

正直な話、プログラミング初心者未満の自分にはハードルが高いと思いました。

コマンドプロンプト? Python? Node.js? 聞いたことはあるけれど、触ったことがない用語ばかり…。

しかし、ここで素晴らしい発見がありました。Claude自身と対話しながら、使い方を学べるのです!わからないことがあれば、Claudeに聞けばいい。まさに、先生と一緒に勉強している感覚でした。

💰必要な費用は月額$20から

Claude Pro(月額$20)から始められる手軽さは、大きな魅力でした。

しかも、技術的な拡張に必要なツールはほぼすべて無料です:

  • Python・Node.js – オープンソースで完全無料
  • MCPサーバー – Anthropic社やコミュニティが公開している多くのサーバーも無料で利用可能
  • 必要な費用はClaudeのサブスクリプションのみ

※ 私の場合は扱う文書量が多いため、現在はClaude Max プラン(月額$100)を利用しています。それでも、得られる効率化を考えると十分にペイしています。

🚀今後の展望

もしこの記事への反響が大きければ、より具体的な生成AI Claude活用例もご紹介したいと思います!

  • プロンプトテンプレートを用いた特許出願明細書の翻訳チェック
  • 拒絶理由通知の検討における活用法
  • AIと人間の協働で見えてきた、それぞれの強みの活かし方

この記事が参考になりましたら、ぜひ👍「いいね」ボタンをクリックしてください!

📝補足情報

Claude APIについて

Claude APIの利用も検討しましたが、現時点では見送っています。理由は、当社の規模(少人数チーム)では、デスクトップ版で十分なこと、また従量課金制のAPIは予算管理が複雑になることなどです。将来的に業務が拡大した際には、再検討する予定です。

メールの自動保存で更なる効率化

実は、Outlookの受信メールもClaudeで活用できるようにしています。Power Automateを使って、特定のメールボックスにメールが届くと自動的にEML形式とMarkdown形式でローカルに保存する仕組みを構築しました。保存されたメールはFilesystem MCP経由でClaudeから直接アクセスできるため、メール内容の分析や返信案の作成がスムーズに行えます。

Windows 365での活用

当社ではClaude(デスクトップ版)をWindows 365上で利用しています。これにより、リモート環境でもどこからでも安全にアクセスでき、在宅勤務や出張先でも同じ環境で作業できます。セキュリティ面でも安心して利用できる構成になっています。

📚 次の記事:技術的な設定方法について

Claudeをさらに便利に使うための技術的な設定方法については、Claudeと一緒にまとめた詳細なガイドを用意しました。

▶️ 「Claudeでまとめた!Windows 11 MCP サーバー完全ガイド」へ続く

【本記事に関するご質問やご意見はお問い合わせフォームで承ります。なお、営業・勧誘目的のご連絡はご遠慮ください。】

この記事を書いた人

目次