外国特許出願の中間処理を支援している当社では、生成AI Claudeの活用について、これまで本ブログで幾度かご紹介してきました。
前回の更新から10ヶ月が経ち、ご無沙汰しております。今回は、その間の状況と、これからのことを簡潔にお伝えしたいと思います。
🤖実は、AIは使い続けています
ブログの更新が止まっていたので、もしかしたら「AIから距離を置いたのかな」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。実は逆で、使う頻度はむしろ増えています。
ブログ記事を書く時間が確保できなかった、というのが正直なところです。新しい機能、新しいモデル、新しい使い方が次々に登場し、こちらが追いかけるのに必死、というのが実態かもしれません。日常的にAIを使っていらっしゃる読者の方なら、たぶん同じ感覚をお持ちなのではないでしょうか。
「ブログに書いている間にツールの方が先に進んでしまう」というのが、更新が止まっていた最大の理由です。
📚これまでお伝えしてきたこと
これまで本ブログでは、外国特許技術者として生成AI Claudeを業務に取り入れた経緯から、MCPサーバーの設定方法、特許ファミリー調査、翻訳チェック、図面の符号チェックといったテーマを扱ってきました。
ご紹介したプロンプトチェーンテンプレートは、無料版のClaudeでも試していただけるよう、読者向けに調整した版でした。「自分でも触ってみたい」と感じていただけるよう意図したもので、お読みいただいた方の手元で何か動かせていれば嬉しい限りです。
🔧AI自体が良くなって、「使い方のコツ」が要らなくなってきた
10ヶ月前にご紹介した手法のいくつかは、もう使う必要がなくなってきました。理由は、ツールの進化というより、AI自体の基本性能が上がったからです。
私が日々使っていて感じる変化は、大きく3つあります。
- 自然な日本語で頼めば伝わる: 以前は「役割を指定して」「手順を分解して」「出力形式を例示して」と、こちらが工夫を凝らしてプロンプトを組み立てる必要がありました。今は丁寧な日本語で依頼するだけで、おおむね意図通りの結果が返ってきます。
- 長い資料を一度に扱える: 一つのチャットで扱える情報量が大きくなり、複数の資料を読ませながらやり取りすることが楽になりました。前の議論を覚えていてくれる場面も増えています。
- AIから質問してくれる: いきなり成果物を出すのではなく、「この点はどう扱いますか?」と先に聞いてくれることが増えました。こちらが完璧な指示を最初から出さなくても、対話の中で詰めていけます。
結果として、過去の記事でご紹介したような「プロンプトの工夫」自体が、だんだん必要なくなってきているというのが、日々使っている立場としての実感です。これからAI利用を始める方にとっては、むしろハードルが下がっている時期と言えるかもしれません。
補足として、Web版のコネクタや Skill といったツール側の進化もありますが、影響としては「AIそのものが良くなった」ことの方が体感的に大きいと感じています。
🎯中間処理業務での当社の使い方
外国特許出願の中間処理業務において、当社は主に 拒絶理由通知のクライアント宛コメント(OAコメント) および 現地代理人宛て指示レター のドラフト作成に生成AIを活用しています。
また、中間処理そのものではありませんが、送受信メールから新規依頼や納品情報を抽出して期限管理ツール(ClickUp)にタスク登録する、といった案件管理面でのAI活用も始めています。地味な作業ですが、こうした事務処理の自動化でも、ヒューマンエラーの削減という意味で大きな効果を感じています。
具体的なプロンプトや運用の細部は本記事の趣旨から外れるため割愛しますが、AIにドラフトを作らせ、それを外国特許技術者である私が確認のうえ、必要な修正や肉付けを行うという流れを基本としています。
この使い方で実感している最大のメリットは、ヒューマンエラーが減ったことです。
論点の見落とし、引用文献の取り違え、用語のブレといった、人手だけだと「気を付けていてもときどき発生する」種類のミスが、AIによる下書き工程を挟むことで構造的に減っています。納品物の品質という意味では、ブログ更新を止めていた10ヶ月の間に、最も実感した変化かもしれません。
一方で、AIによる成果物には、現在も「もっともらしいが間違った情報」「論理の飛躍」「指示の取り違え」が一定の頻度で混在します。LLM(大規模言語モデル)の特性上、これらが完全に消えることは当面ないだろう、というのが日々使っている立場からの見立てです。
そのため、AIの出力を最終的に確認し判断するのは、その業務に通じた経験者である必要があります。
中間処理業務であれば、外国特許技術者として私自身が必ずチェックに入ります。これはどの業種でも変わらず、AIを使う以上は外せない部分かと思います。
🚀これからのこと
本ブログの更新は、当面はお休みする予定です。新しいことが多すぎて、書いている最中にも陳腐化していく感覚があり、「腰を据えて書く」タイミングが取りにくいというのが正直なところです。
ただし、実務での生成AI活用は引き続き継続します。むしろ、ブログを書く時間を捻出する代わりに、業務への組み込みに時間を使っている、というのが正確かもしれません。
ブログでお伝えできるくらいに整理された知見が再び貯まりましたら、また何か書くかもしれません。それまで、お読みいただきありがとうございました。
